推し活修行 ~田中圭さんを深く静かに推す~

映画・演劇・本(乱読)が好き。田中圭ファン。圭モバプラチナ会員。

A2Z

最新の推しを日々堪能している身にとって、半年前の推しを映像で観るのは少し不思議な感じだ。常に推しは進化しており、今が最高の状態であるからだ。

「A2Z」を観た。空いている時間を見つけて2話3話と刻みながら。感想は…何と言えば良いのか…。原作は読んでいない。山田詠美さんの作品はエッセイを何作か読んだことはあるが、小説はまだない。いずれ読んでみたいと思う作品はあるが、A2Zは入っていなかった。だから、原作を知らない者としての感想である。

観ていてひゃあ~となる部分と、なかなか面白い部分が交互にやって来た。この物語の中で一番魅力的なのは、間違いなく森下一浩と澤野夏美の夫婦である、と私は思う。お互いが見事に噛み合っているのに(喧嘩をしている時でさえも)、他の人に心を奪われる。人間とは不思議なものだ。

まず、演じた圭さんが珍しく「嫌い」と言った、夏美の夫一浩。これだけ面白い妻がいるのに、なぜあんな辛気臭い女の子を好きになったのだろう?冬子の良いところが全く描かれていないので、一浩の気持ちが理解出来ない。スパイスの効いた料理を食べ続けていたらふと甘~いものが食べたくなる。そんな感じ?(それはそれで冬子さんに失礼だけど)。要は、妻は絶対自分からは離れないだろうという甘えが産んだ大いなる勘違い。ただ、この人は頭が良く、自分のしていることがとんでもないことだとよくわかっている。わかっているだけにたちが悪い。

しかし、こういう、狡いが魅力的な男を演じさせたら抜群に上手いな、圭さん。もう、十八番の領域である。この作品のリアルを一人で支えていると言ってもいい。

私はこの夫婦が(編集者同士らしく)知的な言葉を駆使して丁々発止とやりあっている場面を実に楽しんで観、それぞれの浮気場面になると途端に退屈した。くれぐれも言っておくが、これは役者さんの問題では決して無い。原作を知らないので、脚本と演出の問題か?と想像するしかない。

ある程度地位もお金もある女性が、美しく純粋で貧しい青年に恋をするとどうなるか?のサンプルのような画面が次々と登場する。大人の女が少女のようになる、あるある。照れてしまうような甘酸っぱいシーンの連続。一方でラブシーンには圧倒的に色気が足りない。

最初から二人には無理があって、長続きしないだろうなぁと思わせる。観ていてくすぐったくなるほど純粋に好きになっているので、遊びが混ざっている夫の浮気とは根本的に違う。夫は敏感にそれを察知し、柄にもなく嫉妬する。しかし、夏美が家を出て成生と暮らしたとしても、あのような暮らしが続く筈がない。そして話は落ち着くべきところに落ち着く。

理性が勝りドロドロにならなかったのが救いだが、その分ファンタジーでもある。夏美の同僚や親友の言葉こそがどれも的を射ていて共感出来る。そして、ここは大事だが、不倫はしても仕事はきっちりやっている二人も良い。

田中圭の上手さを堪能したが(微妙な表情の変化が抜群に上手い。郵便局で切手を買うシーンが何故か好き)、感動するところまでは行かなかった。ファンの戯れ言としては、色々な眼鏡の圭さんを見せてくれてありがとう、という気持ち。もう少し前髪を軽くしてあげて欲しかったけど。

最高のシーンは深田恭子さんとの泡風呂のシーン。浴槽の中で向かい合って新聞を読むという素晴らしい設定!二人のやり取りを含めて、ベッドシーンより艶っぽい。これですよ、最高!!