推し活修行 ~田中圭さんを深く静かに推す~

映画・演劇・本(乱読)が好き。田中圭ファン。圭モバプラチナ会員。

東京へ行く、ということ

明日は菊花賞だ。圭さんが京都競馬場にやってくる。もし、東京国際映画祭の舞台挨拶が無かったら、私は京都に行っていたと思う。そう、私は二つを天秤にかけて、映画祭を取ったのだ。

競馬場には行ったことがない。菊花賞はG1レースで華やかだ。一度観てみたい気持ちは十分にあった。しかし競馬場は広く、どこで観ればちゃんと観られるのかが全く解らない。ネット上では指定席の話も出ていたが、HPの写真では遠いような気もする。思い切って競馬場に問い合わせてみた。係の男性は入場券で入って観るのが一番近いと丁寧に教えてくれた。入場券となると早い者勝ちか…。ファンではない人も田中圭がいるとなれば見に行くだろう。ギリギリに着く私は後ろの方に違いない。家の都合でレース後のトークショーまでは居られないので、昼の部だけしか観ることが出来ない。果たして私は圭さんを観ることが出来るのだろうか?と不安になっていた。

そんな時、圭さんが東京国際映画祭に登壇するというニュースが飛び込んで来た。そもそも、東京国際映画祭で城定秀夫監督作品の特集上映があると知った時「女子高生に殺されたい」が入るに違いないと期待したのにラインナップから外れてしまい、がっかりしていたのだ。しかし、小津安二郎監督の特集で「出来ごころ」のリメイク作が上映されると知り、これはもしかしたら登壇があるのでは?と密かに期待していた。見事に予想的中で、なんとこちらで城定監督と揃って登壇という願ってもない展開となった。映画祭と名の付くものに圭さんが登壇することはずっと私の夢だった(いつか、カンヌに行ってほしい)。チケットは意外にもあっさり取れて、その時点で私は京都行きを諦めた。二つのイベントは日が近すぎて、どちらかは諦めないといけないと思っていた。

そんなわけで明日は行けないが、行かれる皆さんがどうか楽しく観れますように。圭さんがどんなスーツで登場するか、興味津々。写真が沢山あがりますように。

東京に行くと決まった途端にあれこれやることが倍増し、毎日頭がフル稼働している。ホテルが高い。シングルだと余計高い。ギリギリに行って翌日直ぐに帰る。贅沢極まりない。留守番を引き受けてくれた妹が「もっとゆっくりしてくればいいのに」と言ってくれたが、よく考えてみたら、行きたいところがあまりない。気持ち的にゆっくり何泊も出来ないという事情もあるが、私にとって東京は舞台やイベントを観るために行くところだということを今回再認識した。ドラマや映画の撮影があった場所に行きたいという気持ちはもうあまり無い。昔はよく行った。過去に香港映画や韓国ドラマのロケ地巡りを散々やって気づいたのは、その場所は推しがそこに居たからこそ素敵に思えたのだということだった。これは私の個人的な感覚なので、聖地巡りを否定するものではない。

新幹線の楽しみはコーヒーを飲みながら本を読むことだ。新しい本を買った。「木挽町のあだ討ち」は日本晴れのような気持ちのいい終わり方だったが、正直に言うと、主人公より脇役の方がずっと魅力的だった。特に戯作者の金治さん。旗本の息子でありながら道を外し、芝居の台本書きになった男の色気が滲み出ていて、推しが演るならこの役でしょうと思った。

新幹線用に新しく買った本は奥田英朗さんの推理小説だが、届いてびっくり!まるで京極本かと思うほど分厚く重い。さすがにこれは持ち歩けない。コーヒーをこぼしたら泣くに泣けない。その本は家で読むとして、慌てて近所の本屋で梨木さんの文庫本を買った。これで準備OK。私の東京行きなんて、こんなものだ。

12/3の第九は何としても行きたい。

そんな時代…の話

遥か昔、会社の昼休みに妙な話題で盛り上がったことがあった。話の発端は憶えていないが、私が「(テレビの)○○クイズの予選会に行ったことがある。落ちたけどね」と言うと、一人が「私は『スター誕生』の予選会に行ったことがある」と切り出し、もう一人が「スクールメイツのオーディションを受けたことがある」と続いた。美人だったMちゃんが「ミス・サラダガールに応募して一次は通ったけど面接で落ちた。選ばれたのは古手川祐子」と告白し、「実は…今だから話せるちょっと恥ずかしい過去」という告白は思いの外盛り上がった。割と堅い会社で、今まで皆そんなことはおくびにも出さず、誰のことですか?という顔つきで働いていたからだ。え~っという声と笑いに包まれ、お互いに一気に親近感がわいた。これには番外編があって、その時居なかった別の同僚が、「私は高校生の時、アリスのチンペイの鞄持ちをしていた」と言うのを聞いて驚いたことをついでに思い出した。鞄持ち…そういうことが出来た時代でもあった。彼女は谷村さんの訃報をどんな思いで聞いただろう?

今までにもこのblogで度々触れてきたが、私は過去にいくつかのファンクラブに入会した。生まれて初めて某アイドルのファンクラブに入った時は20歳だった。当時の推しは超人気アイドルだったので、ファンクラブは大人数でコンサートもイベントも頻繁にあった。「あの人がファンクラブの会長さんよ」と教えてもらった人は、常に推しの家族と一緒にいた。会長はファンとの交流は一切無く、どう見てもファンクラブというより家族に雇われている人に見えて不思議だった。その後推しが事務所を移籍すると、ファンクラブは一から作り直され、推しの元ファンではなく事務所から派遣された人が新しい会長になった。ファンよりずっと年上だった。見事にテキパキ動く人で、冷たいとか怖いとか言っているファンもいたが(笑)、私はやっとビジネスライクにファンクラブを仕切れる人が現れたとホッとした。質問にも的確に答えてくれ、古いも新しいも無い全てのファンを公平に見る態度は会長にふさわしかったと思う。

その後何年かして、私は自らがファンクラブというものに深く関わることになった。

あるシンガーソングライターの声にひかれ、彼のラジオを熱心に聴いていた。デビュー後直ぐは大して売れなかった人だが、何曲目かにCMに採用されると、じわじわと売れ始めた。ある日、ふと思いついてラジオの公開録音を観に行った。人が沢山集まってはいたが、まだまだファンより買い物客の方が多かった。関西人の彼は話が面白く、「ラジオで俺の声を聴いた人は皆俺のことをオッサンと思っている」と笑わせていたが中々のハンサムで、きっと人気者になる、と直感した。私の近くで関係者らしき男性が楽しそうにイベントを観ていたので、私は軽い気持ちで「スタッフの方ですか?」と声をかけた。レコード会社の担当の人だった。「あのぅ…○○さんのファンクラブってあるんですか?」と私は聞いた。SNSも何も無い時代、一番確かな情報を得るにはファンクラブしかなく、私はファンクラブに入りたかったのだ。彼はまだ無いと答え、何故か「(大阪市内の大手レコード店で働く)Sさんに会ってごらん」と私に勧めた。翌日仕事の帰りにその店に寄り、散々躊躇った挙げ句、やっと思い切って声をかけた。彼女は私の顔を見るなり、「ファンクラブ作ろう!」と持ちかけ、私は面食らった。

その後紆余曲折あり、結局ファンクラブは東京で作られ、私達は関西支部的な立ち位置となった。関西支部は正式な支部ではなかったが、スタッフは歓迎してくれ活動は東京より盛んだった。Sさんが代表となって交渉事を担当し、私はサブで会報の作成を引き受けた。毎月10ページ程度、ほぼ一人で文章を書いてレコード店に置いてもらっていた。一人また一人と仲間が増え、総勢30名程のメンバーが毎週のようにレコード会社の会議室に集まってリクエストハガキを何枚も書いた。当時はベストテン番組のランキングにリクエスト数が如実に影響し、応援のし甲斐があった。ある日いつものようにせっせとハガキを書いているとなぜか周囲が急にザワザワし始め、マネージャー氏と共に「こんちは」と、推し本人が現れた。私達は突然のことにポカンとしたまま声も出せないでいた。「いつも皆がリクエストハガキを書いてくれていると聞いて、一度ちゃんと御礼しないと、と思って」と推しは挨拶し、その後一時間くらい最近の出来事を面白おかしく話してくれた。それは、夢かと思うほど楽しい時間だった。その出来事は瞬く間に関西のファンの間に広まり、次の集会には一挙に100人近い人数が集まった。新しく加わった人たちは一様に「次はいつ来てくれるでしょうか?」と期待していたが、私は次は無いだろうと内心思っていた。彼は誰もが知るアーティストになり、やはり二度目はなかった。それでも支部は結構続き真面目に活動を続けたが、夜遅くに私の自宅に電話をかけてきて「○○さんは今日どこのホテルに泊まっているんですか?」とたずねる人まで現れるに至って、終わりだ…と思った。もちろん、どこに泊まっているかなど全く知らなかった。見返りを求めず一心不乱にハガキを書いていた頃とはすっかり変わってしまっていた。

推しとファンの間には、適度な距離があってこそ、と今も思う。

本好きの独り言

またもや戦争が始まった。どの戦争も終わりが見えない。毎日ろくでもないニュースばかりで、ワイドショー等全く観なくなってしまった。私たちはどこに向かっているのだろう?

有名人の体調不良のニュースが一気に増えて心配になる。皆さんかなり無理を重ねていらっしゃったようで、ゆっくり休養を取ってくださいねと願いつつ、休みなく働いている我が推しに思いを馳せる。秋深し。どうか、何事もなく笑っていて、と。

急に寒くなったので、慌てて寝具を交換し、扇風機を3台片付けた。2台は壁掛けだが、洗面所の扇風機はさほど汚れていないのに、キッチンの扇風機は埃でいっぱいだ。分解し丁寧に拭いてまた組み立てて仕舞う。毎年やっているので、組み立て方もおぼえてしまった。もうすぐストーブの出番か…。季節が夏と冬だけになっていく。

さて、秋と言えば読書。やっと本気で本に向かい始めた。忙しいことを言い訳に積ん読になっていた本や雑誌を順番に片付け、いざ本丸。今年の直木賞木挽町のあだ討ち」から始める。時代物を読むのは久しぶりだ。江戸時代の芝居小屋。ある雪の日、美しい若衆菊之助によって成し遂げられた仇討ち。一部始終を見守っていた芸人、殺陣師、女形、衣装係、小道具さん、台本作者、そして侍。様々な人物が次々と登場し、自ら語る壮絶な過去。やりきれない現実に直面し、懸命にそれを乗り越えてきた人たちの潔さ。実に久しぶりに、本を読みながら泣いた。まだあと一章残っているが、なんとなくあっと驚く結末が用意されているような気配がプンプンしている。どうか、気持ち良く最後の頁を閉じられますように。

本は紙で読みたい派で、おまけに単行本好き。時代に逆行していると思うが、本の手触りや匂いが好きなのだ。持ち運ぶには大変なので仕方なく文庫本を買うが、本棚に並んだ感じが好きなので単行本を買い足すこともある。無駄とは思わない。

買う前にざっと粗筋を見て、こういうのを圭さんがやったらどうだろう?と思って読んだ本もあるが、どちらかと言うと、読んでからこれを圭さんで観たいなぁと思うことの方が多い。最たるものは梨木香歩さんの「家守綺譚」と続編の「冬虫夏草」だ。私は放置したままのXではkitanと名乗っているが、これはまさにこの小説から頂いた名前だ。この小説を読んだ当時、あまりに好きで周りの人たちに勧めまくったのだが、なんと、読んだ人はみな「とても面白かった、教えてくれてありがとう」と言ってくれた。こんなことはあまり無いので、無性に嬉しかったことをおぼえている。

100年前のお話。急逝した親友の父親に頼まれ、親友の残した屋敷にずっと住み家を守る貧乏物書き、綿貫征四郎。飼い犬のゴローをはじめ物語には多くの動物や植物が登場し、それら全てに魂が宿っているようなお話なので、実写化は難しいかもしれないが、映画なら出来そうだ。植物にまで惚れられる真っ直ぐで清々しい主人公を圭さんが演じたらどんなに素敵だろうとずっと夢見てきたが、征四郎を演るには少し歳を取ってしまった。残念だ。いや、しかし、若く見える圭さんならやれなくはない。袴も似合う。観たいなぁ。

 

今、この番組にはまってます

テレビを観る時間がとても減った。単にやることが多くて時間が無いのが原因だが、録画してでも観たいと思う番組が減ったということでもある。母と二人、「今日は観るものが無いねぇ」と話すことが多い。我が家で“観るもの”と言えば、まず正統クイズ番組。ひらめき系ではなく、「東大王」とか「Qさま」とか、「高校生クイズ」とか「頭脳王」とか。昔から家族全員クイズが大好きで、私が勤めていた頃は、帰りの遅い私のために、父がテレビで観た問題をメモして帰りを待っていた。遅い夕飯を食べている私に次から次へと質問を繰り出すのだ。クイズは割と得意だったので、正解するたびに父が喜んでくれて嬉しかった。他に今も観ているバラエティーと言えば「サラ飯」と「お宝鑑定団」くらいか。ゴチも観ているが、圭さんが居た時ほど熱が入らない(笑)。

ドラマは、当たり前だが内容と演者による。個人的な好みで言うと、奇をてらわず(ここ大事)、会話の多い胸に沁みるような作品が好きだが、そうなるとどうしてもNHKWOWOW作品が多く、そこで圭さんを観たいといつも秘かに願っている。

観たいものが無いと、最近は配信に目が向くようになった。Eテレで観ていた「ブリティッシュベイクオフ」が終わってしまい残念がっていたらAmazonプライムで字幕版があることを知り、即視聴。課題として次々紹介されるヨーロッパのパンやケーキは、深夜に観ると飯テロだ。字幕版は面倒かと思ったが、綺麗な発音のイギリス英語を聴くことが出来、耳の保養になる。審査員のポール・ハリウッド氏の批評は厳しいが公平で、番組の核となっている。出演者たちが勝敗を越えて友達になり、勝者をみんなで讃えるところが何とも気持ちがいい。はまりまくって全シーズンを観る勢いで毎日観ていたが、10月に入って急に観れなくなった。配信はこれがあるから悲しい。

がっかりして代わりの番組を探していたら、自分の好みにピッタリな番組に出くわした。「A Table」(ア・ターブル)。主演の市川実日子さんは、圭さんと共演した「レンタネコ」が凄く良かったし、「大豆田とわ子と三人の元夫」も大好きだった。30分のグルメドラマで、登場人物は夫役の俳優さんと基本二人。毎回歴史上の人物の食べ物を夫婦で再現してみるというストーリーで、二人のモノローグがとてもいい。市川さんは常日頃料理をしているのだろう。手慣れていて自然だ。二人の家のインテリアもすっきりしていて素敵。1話はマリー・アントワネットの食事を再現していたが、初っぱなからはまってしまい、楽しみが増えた。当分、圭さんの新しい情報が入るまで、これで繋ごう。

(実は、例の配信。婚活番組なるものが大の苦手で、推しがMCだというのにいまだに観るのを迷っている。)

圭さんは今、何を撮っているのだろう?

 

必要なものが無くて、無くてもいいものがある

随分長ったらしいタイトルになってしまった(笑)

ファンの一票で何らかの賞が推しに授与される可能性があるものには、なるべく参加するようにしている。圭さんが評価を目指してやっていないのは百も承知で、自分に出来るささやかな貢献だと思ってやっている。今も毎日せっせとポチポチやっているが、圭さんが主演の場合、助演の方を選出するのに少し迷う。他のドラマの出演者で強く印象に残った俳優さんがいる場合だ。今回は「彼女たちの犯罪」に出演している野間口徹さんを推したい。地味だが誠実さが滲み出る上原刑事。最終回での野間口さんの演技にぐっと胸に迫るものがあった。よし、今回は野間口さんに、と思って投票しようとすると、助演男優賞のリストに名前が無い。仕方なく「その他」を選択し名前を記入しようとするも、助演男優賞の枠だけ「その他」が抜けている。単純なミスだと思うが、どこに伝えてよいかわからない。残念だ。よく眺めてみると、「彼女たちの犯罪」も「何曜日に生まれたの?」も作品自体が無かったかのように扱いがない。それらの作品のファンの方が見たらさぞ残念がるだろう。

雑誌を買うとポラロイド写真のプレゼントがあることが多い。当たりっこないと思うが、編集部に「田中さん目当てで買いましたよ」というアピールになればと考え応募している。応募するには軒並みアンケートに答えなければならないが、これがちょっと困る。「今月号でつまらなかった(面白くなかった)記事はどれですか?」という問いだ。その雑誌を買うのは圭さん目当てなので、正直他の俳優さんや歌手の方に興味はなく、読まないことが多い(知らない方ばかりの並びの中に圭さんが!と思うこともある)。それは自分が興味がないというだけのことで、面白い面白くないの問題とは別の話だ。料理を10品出されて、一番美味しかったのはどれですか?逆に一番不味いと思ったのはどれですか?という質問とは似ているようだが違う。不味くても一応食べて答えていて、その料理は改善する余地があり、それは作った人の参考にもなるだろう。しかし、この質問の場合、“興味がない”を“つまらない”と変換してしまえば、その記事は本当につまらない記事とされてしまうのか…?モヤっとするので最近は「自分は推しの記事を読みたいがために買ったので正直他の記事に興味はありませんが、それはつまらないとは違います。選べません」と書くようにしている。「該当記事無し」と書けばいいのだろうが、この手の問いがなくなることを祈って敢えて書いている。「抱かれたくないタレント」とかももういらない。「好きな人」「良かった記事」だけでいいじゃない。

30代最後の挑戦

(月曜日の夜に書いている)

今朝のニュースには少し驚いた。噂には聞いていたがいきなりで、いろんな考えが頭の中をぐるぐる回った。丸一日かかって、徐々に頭と心の霧が晴れてゆき、夜になってストンと収まるところに落ち着いた。圭さんが納得して快諾したのなら、それ以上我々が何を言うことがあるだろう。

2019年の続編を巡るすったもんだは少し知っている。“少し”というのは、まずいなぁと思った時点でその辺りのSNSを私が意識的にスルーしたからだ(不快なものは見ないに限る)。しかし、それら諸々の軋轢がさすがに圭さん本人の目に入らないわけがなく、思い悩んだ彼のblogを読むのは辛かった。

私は、圭さんが一生懸命に作ったものをただ楽しく観せてもらうだけで十分だ。誰かを推すということを長くやってきて、やっとそのシンプルな原点にたどり着いた。子供が親の所有物ではないように、推しもファンの所有物ではない。その奥深い領域に私たちは踏み込むことは出来ない。推しには推しの生き方も考え方もあり、ファンの望む通りの選択をするもしないも自由だ。

今、圭さんが「おっさんずラブ」の続編をやるということは、この作品が30代最後を飾る集大成になると考えているのではないだろうか?先のことはあまり考えていない、といつも話しているが、40代からのビジョンが無いわけではなく、大っぴらに話したくないだけのような気がする。新しい領域に一歩踏み出す前に、「おっさんずラブ」を美しく完成させ幕を引きたかったのではないか?と私なりに考えた。

5年の間に世の中は大きく変わった。男性同士の恋愛を描いたドラマは珍しくない(安直に描かれていて首をかしげるものもある)。続編はどういう切り口で観る者を楽しませてくれるのだろう?

観る前から否定的なことを言うのは好きではない。圭さんを信じて楽しみに待ちたいと思う。

ドラマ好き、だけど…

昨日は妹と姪の三人で父の墓参りをした。とてもいい一日だった。家に帰って来て皆でお茶をしながら久しぶりに映画やドラマの話題で盛り上がった。母はもうそういうことに興味がないので、私は普段はエンタメの話し相手がいないのだ。今期のドラマの感想から、サスペンス映画の名作選の話まで、好きな傾向が似ているので共感の嵐となる。三人それぞれに人気者の推しがいて、特に姪の推しは超人気の人だが、彼女は何でも絶賛する人ではない。とても冷静に観ていて感心する。十代の頃から「男優は35歳を過ぎないと、魅力を感じない」と言っていて、当時それを聞いた私は好みが渋いねぇと笑っていたが、なかなかの慧眼だったと今は思う。

改めて昨今のドラマの面白さはオジサン俳優たちが握っているという話になる。魅力的な脇役の俳優さんが沢山いて、重宝されているからか出番も多く、その方たちが出てくると一気に話が面白くなる。ハヤブサはその最たるもので、消防団から町長、中山田さん(笑)に至るまでキャスティングが最高だった。テーマとして宗教を扱うと、いろんな考え方があり、内容はぐっと重くなる。そんな展開の中で、主人公の仕事仲間である中山田さんに扮した山本耕史さんが絶妙な緩衝材になっていた。つくづくキャスティングは大事だと思う。

「何曜日に生まれたの?」は、面白いと言えるか?未だに不思議なドラマだが、井上祐貴君が素敵だという話になる。「unknown 」に出ていた時より、一段と魅力が増した。大河の「どうする家康」(実は、うーんと思いながらもずっと観ている)にもこれから出てくるようだし、今後どんどん人気が出てくる人だと思う。

「ブラックポストマン」はオリジナル作品の強みで先が全く読めず、二転三転の展開がとても面白いが、凄いテンポで話が進んでいるのでもったいなくもある。設定はこのままで、昔のように全12話くらいかけてじっくり描いたものも観てみたかったなぁと思う。

そう、昔は連続ドラマは必ず12話あり、見応えがあったのだ。それがいつの間にか10話になり、ついに7話になり…。今思えば「あなたの番です」はよく企画が通ったなと思う。海外市場に日本のドラマを売り込もうとしても、話数が少なすぎてなかなか売れないという話を聞いたことがある。確かに韓国ドラマはもっと長い。長ければ良いと言っているのではない。WOWOWのドラマなどは5話というのも多いが、とても見応えがある。途中にCMが入らないのが大きいし、丁寧に作られている。

圭さんがよく口にする「1本の作品をじっくりと時間をかけて作ってみたい」という気持ちはとてもよくわかる。観る側もせっかくの作品をもう少しじっくりと考えながら観たい。話数はこれ以上短くしないでと切に願う。