推し活修行 ~田中圭さんを深く静かに推す~

映画・演劇・本(乱読)が好き。田中圭ファン。圭モバプラチナ会員。

師走雑感

毎日寒い日が続くが、推しはどうしているだろう?朝風呂に入らないと身体が動かないと言っていたが、今朝も頑張って起きたのだろうなと思う。今年は田中圭史上一番と言っていい程ビジュアルの素晴らしい一年で、いつ見てもシュッと引き締まっていて、浮腫んだ顔を見せることなど一度もなかった。来年40歳なんて信じられない。陰でどれだけ努力しているか。素振りさえ見せないけれど。

去年今年と冬ドラマが続く。新年からドラマが始まる時は、年末もフル稼働だ。雑誌の掲載の多さから見て番宣もさぞ多いことだろう。配信やCSで放送されている過去作の多さが推しの働き者ぶりを現していて感動する。

「女子高生に殺されたい」のBlu-rayを観た。メイキングが素晴らしい。待った甲斐があった。今まで多くの作品のBlu-rayを買ってきたが、特典映像に満足することはなかなかない。長時間の特典映像がついていても、全て観たことのあるものだったり、メイキングも全員のオールアップ映像が半分を占めたり…。しかし、この映画のメイキングは一味違った。タイトルから際物と受け取られかねない作品を、いかに映画作品として一級のものに仕上げて行くか?監督・スタッフ・主演、三者に共通する職人気質のようなものがうかがえる。圭さんが役に気持ちを入れる直前の映像は実に貴重だし、ただただ面白い作品を作りたいという、役者としての核とも言える言葉も語られている。特典映像とは、かくあるべきだ。

おっさんずラブ リターンズ」の新作御披露目舞台挨拶は激戦だったようだが、元より遠い世界のイベント(笑)、テレビで少しでも見られたらいいなぁくらいに思っている。おっさんずラブ展は最初から行く気がない。グッズも続々紹介されているが、欲しいのは春田のアクスタくらいだ。朝陽さんのアクスタならもっと欲しいが。

忙しいくせに、配信や再放送で過去のドラマを観てはまったりしている。先日NHKで「ガラパゴス」というドラマの再放送を観て唸った。本当に唸りそうになるほど凄まじい内容で、派遣社員を取り巻く現実を深くえぐり取っていた。埋もれそうな過去の事件をコツコツと捜査していく地味な刑事役の織田さんに驚き、こういう俳優さんだったんだ、と認識を新たにした。

今はWOWOWオンデマンドの「マークスの山」にはまっている。「出来ごころ」を機にオンデマンドに入ったので、せっかくだから何か観ようと思った時に真っ先に飛びついた。映画版は観た。上川さんが好きなのに、この作品は見逃していた。ずいぶん前の作品なので大杉漣さんが出ておられる。佐野史郎さん、石黒賢さん、小木茂光さん、甲本雅裕さん、矢島健一さんetc脇として登場する役者さんが皆素晴らしく、好きな人ばかりだ。ああ、こういう骨太で、グッと胸ぐらを掴まれるような社会派の作品で推しを観たいなぁ、といつもの感情が押し寄せて来て、複雑な気分になる。

一万人の第九

一万人の第九」に行ってきた。当日までハラハラドキドキで、小さなお子さんのいる方がどうか子供が熱を出しませんようにと願うのと同様に、どうか母が転倒しませんように、と願う毎日だった。

このイベントは昔から知っている。MBSのアナウンサーが合唱メンバーに選ばれ、悪戦苦闘しながらドイツ語の歌詞を練習している姿を見て、すごいなぁと思ったりしていた。しかし、実際に会場で観たことはなく、本当の凄さはよくわかっていなかった。リハーサルの大変さなど考えも及ばず、なぜもう少し早く開演してくれないのだろうと、自分の都合で考えていた。

ついに当日、一人で留守番をする母の心細そうな顔に後ろ髪を引かれながら家を出た。大阪城ホールは何年ぶりだろう?古い記憶だと、チェッカーズを観た。古すぎる(笑)。KinKi Kidsも観た。k-popも。最近は舞台鑑賞ばかりで、この広さは久しぶりだ。ホール内に入ると合唱に参加する方々があちこちにおられて、ワクワクと共に段々と概要が頭に入ってくる。席について正直うわっと圧倒された。これは…。純粋な観客席は1/4程度で、あとは全部合唱団席だ。衣装の色が統一されているので圧巻。圭さんは進行ファイルのような物を抱えてベルベットのタキシード姿で現れ、まさに華のある登場だった。開口一番、スタンド席からもわかるほど圭さんの緊張感が伝わってこちらまで緊張したが、仕事に関してはプロらしく完璧にこなしていく。佐渡エストロから緊張ぶりを指摘され、やっと笑顔が見えた。しかし、場数を踏んでいる経験値が物を言い、段々司会ぶりが板に付いてくる。ゲストの方のコーナーがある一部は和気藹々とした雰囲気で盛り上がった。ただ、一つだけ残念なことが。佐渡さんが力を入れているスーパーキッズオーケストラと大阪府淀川工科高校吹奏楽部の演奏をもっとちゃんと聴きたかった。ゲストのバックで彼らが演奏した曲は、ゲストの方のバンドの重低音ですっかりかき消されてしまったからだ(音の種類が違いすぎる)。あの時だけバンドの方に休んでもらえなかったのだろうか?(大声では言えないが)

30分間の休憩でトイレに並んでいると、背後から突然拍手が沸き起こった。何だろうと振り返ると、スーパーキッズオーケストラと淀川工科高校吹奏楽部のメンバーが通路を通って行ったのだ。はにかみながら足早に通り過ぎる。はっきりと「ありがとうございます」と答えた少年がいた。狭い通路が温かい空気で満たされた。

そして、第二部はいよいよ第九。力のこもった佐渡さんの指揮を観ながら、本当に体力仕事だなぁと改めて感心する。美しい旋律に身を任せながら、色んな感情が頭の中をぐるぐると駆け巡った。客席の最前列に座って鑑賞する圭さんの頭が見える。佐渡さんの指揮に合わせて頭が揺れている。常葉朝陽を演じていなかったら、こんなに自然には身体が動かなかっただろう。

いよいよ合唱部分に差し掛かった途端、四方八方から声が轟いた。一万人の声の力。「荘厳」というのはまさにこういうことを言うのだなと思った。男性の深く重い声の響き、女性の高らかな澄んだ声が何重にも重なり、未だかつて経験したことのない感覚を味わった。スクリーンに映し出される歌詞に心を揺さぶられ、「人はなぜ戦争をするのだろう」と思った。普段は不信心者の私が神に祈り、胸がいっぱいになった。貴重な経験をさせてもらった。

第九の後はサプライズゲストで阪神タイガースの大竹投手も登場し、一気にお祭りモードに。ラストは蛍の光のメロディーをバックにメインパーソナリティである圭さんの挨拶。見事に締めくくって、流石と思わせた。アンコールでは、合唱指導の先生達がずらりと登場し、圭さんはその方々に前に出るように促したりして気遣いを見せる。全員のお辞儀では誰よりも深く頭を下げる。素晴らしい!是非来年もやってほしい、と強く思いながら会場を後にした。

忙中閑あり?

うかうかしているとあっという間に一週間が過ぎてしまう。今年も残すところあと1ヶ月余りとなり、気忙しくなってきた。自分が家事全般を担うようになり、主婦業とはこんなにも忙しいものなのか、と改めて思う。加えて育児もされている方にはただただ頭が下がるばかりだ。

子供の頃は年末が大好きだった。昭和の年の瀬はわくわくするような特別感があったように思う。母についてお節の材料を買いに行ったり、畳まではがす大掃除をして小銭を拾ったり(笑)。お節はもう20年以上前に買う方に切り替えた。母が病気をした年で、それまでは「俺の目の黒いうちは絶対手作り」と譲らなかった父を説得し(案外あっさりと折れた)、初めてデパートで購入した。それが思ったより美味しかったので、以後はずっと買っている。母の負担は一気に軽くなった。同じところばかりだと飽きるので、ネットの評判等を参考に色々試している。今までで一番高額だった京都の某店のお節が一番いまいちだったのは残念だが、幸い、過去にニュースになったような酷いお節に出会ったことはない。年末に大掃除をするのもやめた。一番寒い時に無理をしてやらなくても、もっと気候のいい時にやればいい。換気扇の掃除は毎年ゴールデンウィークにやっている。そもそも、普段の掃除を丁寧にやっていれば、まとめて大掃除をやる必要もないような気がする。いつも書いているが、私は汚いのは嫌なので掃除は仕方なくやっているが、整理整頓は大好きな趣味なので、暇がなくてもやっている。最近も玄関や物置(なぜか3つもある(笑))の片付けに熱が入り、随分すっきりした。圭さんに表立った動きがない間に、出来ることはやっておかなければ(笑)。

「出来ごころ」は録画出来るのが有難い。タナカーではない人にも観てもらいたくて、円盤をいくつか作るつもりだ。本当に、何度観ても観た後の気分が清々しい。遅ればせながら小津さんの「出来ごころ」を観てみた。オファーされた時に元の作品を観た圭さんが、なぜこの役が自分に来たのだろう?と思ったと話していたが、そう感じるのはもっともだと思う。今では表現出来ない部分もあり、あれをこうリメイクした城定監督のセンスに感心した。ラストのワンカット撮影はもちろん素晴らしいが、途中のお遊びの部分も洒落ていて好きだ。田中圭という俳優の一面しか知らない人に、是非観てもらいたいと思う。

来年の「おっさんずラブ-リターンズ-」のビジュアル撮影には笑った。一目見るなりヨ○様やん、と。韓流には過去に深く深く関わった経験があるので、当時のスターには詳しい(今の俳優さんはほとんど知らないけれど)。そう言えば、「幻蝶」という芝居をやった時に、主人公の青年(圭さん)が「韓流スターみたいな顔をして」と言われる場面があって、自分の中でめちゃ受けたことを思い出した。全くの余談だけれど。

監督と俳優

台湾の候孝賢(ホウ・シャオシェン)監督がアルツハイマー病を患い引退することになったと新聞に出ていた。候監督と言えば「悲情城市」だ。一時期台湾映画ブームがあり、新作だけでなくリバイバル上映の作品もよく観たが、これほど感銘を受けた映画はない。トニー・レオンの最高傑作だと思う。私と親友はトニー・レオンが出ている名作という前知識だけでこの映画を観に行った。観終わった後、私たちはあまりの感動に言葉が出てこず、互いに無言のままだった。

あらすじを、こんな感じですと簡単に書くことは出来ない。1945年以降、日本の統治から離れた台湾が国民党政府になるまでをベースに、激動する政局に振り回される国民の姿を、ある一族四兄弟を中心に描いている。兄弟の末っ子、聾唖の青年文清をトニー・レオンが演じ、文清がその純粋さ故に周囲の誰からも愛され、政争に巻き込まれ命を落とすまでの日々が描かれる。写真館を営む文清が反政府主義者と誤認され、追われ逃げる前に家族と撮った一枚の写真。若く美しい夫婦と幼い息子。その写真が胸に焼き付いて離れない。

前にも書いたが、私はかつてレスリー・チャンの大ファンで、レスリーを通してトニーを知った。個性の強い香港映画界の面々の中で彼は珍しくまったりとした温厚な人で、その善人ぶりを表す逸話がいくつもある。文清役はまさにはまり役で、彼に文清役を演じてもらいたかった監督が台湾語の出来ないトニーのために文清を聾唖の設定にしたということを後で知った。この映画はベネチアで金獅子賞を獲り、トニー・レオンは一躍トップスターになった。2000年にはカンヌで主演男優賞を獲り、名実共に国際的な俳優になった。今観ても決して色褪せない作品を、今こそもっと多くの人に観てもらいたいと思う。

監督と俳優、双方にとって幸せな出会いというものがある。

城定監督、圭さんでもう1本、長編を撮って下さい。

推し活の効用

秋深し。こちらは好天が続いている。寒くなってきたので寝具を交換したりホーム炬燵を出したり、やることが沢山ある。忙しいが、先の楽しみがあるので頑張れる。12月の第九のチケットが取れた。圭モバでしか申し込まなかったので、後で皆さんのツイを見て呑気過ぎたかなと心配したが、無事当選した。今年もう一回生の圭さんに会えるなんて思ってもみなかった。老化防止に推し活が有効という記事をあちこちで見かけるが、本当にそうだと思う。

年を取るにつれて、一歩踏み出すということが段々億劫になる。ま、いいかとすぐ諦めてしまう癖がつく。人生が残り少ないのだから諦めてしまってはもったいないのに…。写真集のハイタッチイベントがあった時、あっさり諦めてしまったことを後になって後悔した。行けなかったことにではなく、行こうとしなかったことに情けなさを感じたのだ。あの時私は圭さんが年末までに舞台をやるかもしれないという淡い期待を抱いていた。現状、東京へ行けるのが一年に一回とすれば、舞台に賭けるしかないと思ってハイタッチを諦めた。しかし、次第に舞台出演は望み薄になり、今年は生圭さんは無しかな?と、それでも供給は多いのだから充分幸せだ、と自分を慰めていた。まさか、こんなチャンスが来て、一度は観てみたいと思っていた東京国際映画祭も垣間見ることが出来るなんて。弾丸もいいところの東京行きだったが、本当に行って良かったと思う(留守番を買って出てくれた妹に感謝)。25日は早朝にホテルを出て新幹線の中で朝食をとり、コーヒーを飲みながら本を読む癒しの時間を味わった。梨木さんの本は大正解。旅にぴったり。で、大阪に着き在来線に乗り換え、あと少しで我が家という時に人身事故発生。乗っていた電車が止まってしまい、そのまま2時間近く待機。朝早くから動いたことが全て水の泡になり、ぼんやりと駅のベンチで呆けていた(笑)。どうもすんなりとは終わらないらしい。

「出来ごころ」と一緒に上映されたもう1本のリメイク作品「生まれてはみたけれど」の感想を少し(ネタバレ無しは難しい)。「出来ごころ」とはかなり色合いの違う作品だが、こちらもとても面白かった。主演の柄本佑さんは以前から好きな俳優さんなので、今回のラインナップは私にとって嬉しい2本だった。佑さんが「心の傷を癒すということ」というNHKドラマで演じた精神科医は素晴らしかった。圭さんにこんな役が来ないかなぁと羨ましく思ったものだ。

喜八さんとは違い、「生まれてはみたけれど」の主人公は、どこにでもいるようなサラリーマンだ。大きな起承転結があるわけではないが、微妙に揺れ動く子供たちの心情がよく描かれている。大声をあげて子供を叱ったりする人がいないのがいい。途中で出てくる渋川清彦さんが最高だ(リバオケでティンパニ奏者を演じていた方)。素晴らしいバイプレーヤーだと思う。どんな役柄かは観てのお楽しみ。

ということで、2作品観ただけでこの充実ぶり。まだ観ていない4作品もきっと傑作に違いない。またとない機会。観られる環境にある方は是非御覧になって下さい。WOWOWの「OZU~小津安二郎が描いた物語~」。

これぞ、田中圭!「出来ごころ」

ブラボーと叫びたい気分だった。一人なのがこんなに残念に思った夜はない。

今回東京行きを決めたのは、国際映画祭に登壇する圭さんを生で見たいという、ある意味本編を横に置いた感情だった。後でWOWOWで観られるのにとか、30分にも満たない舞台挨拶に何万も使うのかと、庶民的な葛藤が無かったと言えば嘘になる。

しかし、見終わった今、あの作品を大きなスクリーンで観ることが、どれだけ素晴らしいことだったか、身に染みて感じる。

挨拶に登壇した圭さんは期待を裏切らない素敵さだった。生の圭さんは「夏の砂の上」以来なので、今年のイケメンぶりを堪能した。監督が自ら圭さんを指名したこと、こんな役を田中さんにお願いしていいのだろうか?と多少逡巡していた監督を動かした、深夜に観た「死神さん」。初めて聞いたらしく心から嬉しそうな圭さん。相性って、きっとある。「死神さん」は私も大好き。圭さんが何度も言っていたラストのワンカットとは?何の予備知識も入れず、いざ本編へ。

巨匠小津安二郎へのオマージュ。こういう依頼は実に難しいと思う。リスペクトが感じられないと失礼だ。上手くリメイクしないと、すぐ比較してあれこれ言う人が出てくる。しかし、さすがは城定監督。多少ノスタルジックを伴いながら、ぐいぐい引き込まれていく。今でもいるよね、こんな人、と思わせるダメな父親、喜八。下町言葉に違和感がない。圭さんは正真正銘の下町育ちだものと思いながら、考えてみたらこういう役今まで無かったんじゃない?新鮮。他のキャストも皆素晴らしい。演技に品があるという表現が正しいかどうかわからないが、でしゃばった演技をする人がいないのだ。子役が抜群に上手い。渡辺真起子さん、好きだ。上手いなぁ。音楽が懐かしい。圭さんは飄々と喜八を生きる。酒とギャンブルに明け暮れるとことんダメな男だが、そのダメっぷりは他者を傷付けるものではなく、息子に深く愛され、愛嬌があり、哀感もある。この辺りは田中圭の真骨頂だ。「可愛い」以外の言葉で、もっと評価されるべきだと思う。

そして、ラストシーン。圧巻!スクリーンの中を走って走って走り抜く。ワンカットならではの臨場感。圭さんの息遣いが演技を超えていて、鳥肌がたった。これぞ、田中圭

城定監督、ありがとうございました!監督は田中圭という俳優を生かす術を心得ている。最高です。

夜、久しぶりに圭モバにメールを送った。私の観たかった、演技者田中圭がいました、と書いた。

※「生まれてはみたけれど」については後日