推し活修行 ~田中圭さんを深く静かに推す~

映画・演劇・本(乱読)が好き。田中圭ファン。圭モバプラチナ会員。

これぞ、田中圭!「出来ごころ」

ブラボーと叫びたい気分だった。一人なのがこんなに残念に思った夜はない。

今回東京行きを決めたのは、国際映画祭に登壇する圭さんを生で見たいという、ある意味本編を横に置いた感情だった。後でWOWOWで観られるのにとか、30分にも満たない舞台挨拶に何万も使うのかと、庶民的な葛藤が無かったと言えば嘘になる。

しかし、見終わった今、あの作品を大きなスクリーンで観ることが、どれだけ素晴らしいことだったか、身に染みて感じる。

挨拶に登壇した圭さんは期待を裏切らない素敵さだった。生の圭さんは「夏の砂の上」以来なので、今年のイケメンぶりを堪能した。監督が自ら圭さんを指名したこと、こんな役を田中さんにお願いしていいのだろうか?と多少逡巡していた監督を動かした、深夜に観た「死神さん」。初めて聞いたらしく心から嬉しそうな圭さん。相性って、きっとある。「死神さん」は私も大好き。圭さんが何度も言っていたラストのワンカットとは?何の予備知識も入れず、いざ本編へ。

巨匠小津安二郎へのオマージュ。こういう依頼は実に難しいと思う。リスペクトが感じられないと失礼だ。上手くリメイクしないと、すぐ比較してあれこれ言う人が出てくる。しかし、さすがは城定監督。多少ノスタルジックを伴いながら、ぐいぐい引き込まれていく。今でもいるよね、こんな人、と思わせるダメな父親、喜八。下町言葉に違和感がない。圭さんは正真正銘の下町育ちだものと思いながら、考えてみたらこういう役今まで無かったんじゃない?新鮮。他のキャストも皆素晴らしい。演技に品があるという表現が正しいかどうかわからないが、でしゃばった演技をする人がいないのだ。子役が抜群に上手い。渡辺真起子さん、好きだ。上手いなぁ。音楽が懐かしい。圭さんは飄々と喜八を生きる。酒とギャンブルに明け暮れるとことんダメな男だが、そのダメっぷりは他者を傷付けるものではなく、息子に深く愛され、愛嬌があり、哀感もある。この辺りは田中圭の真骨頂だ。「可愛い」以外の言葉で、もっと評価されるべきだと思う。

そして、ラストシーン。圧巻!スクリーンの中を走って走って走り抜く。ワンカットならではの臨場感。圭さんの息遣いが演技を超えていて、鳥肌がたった。これぞ、田中圭

城定監督、ありがとうございました!監督は田中圭という俳優を生かす術を心得ている。最高です。

夜、久しぶりに圭モバにメールを送った。私の観たかった、演技者田中圭がいました、と書いた。

※「生まれてはみたけれど」については後日