推し活修行 ~田中圭さんを深く静かに推す~

映画・演劇・本(乱読)が好き。田中圭ファン。圭モバプラチナ会員。

一万人の第九

一万人の第九」に行ってきた。当日までハラハラドキドキで、小さなお子さんのいる方がどうか子供が熱を出しませんようにと願うのと同様に、どうか母が転倒しませんように、と願う毎日だった。

このイベントは昔から知っている。MBSのアナウンサーが合唱メンバーに選ばれ、悪戦苦闘しながらドイツ語の歌詞を練習している姿を見て、すごいなぁと思ったりしていた。しかし、実際に会場で観たことはなく、本当の凄さはよくわかっていなかった。リハーサルの大変さなど考えも及ばず、なぜもう少し早く開演してくれないのだろうと、自分の都合で考えていた。

ついに当日、一人で留守番をする母の心細そうな顔に後ろ髪を引かれながら家を出た。大阪城ホールは何年ぶりだろう?古い記憶だと、チェッカーズを観た。古すぎる(笑)。KinKi Kidsも観た。k-popも。最近は舞台鑑賞ばかりで、この広さは久しぶりだ。ホール内に入ると合唱に参加する方々があちこちにおられて、ワクワクと共に段々と概要が頭に入ってくる。席について正直うわっと圧倒された。これは…。純粋な観客席は1/4程度で、あとは全部合唱団席だ。衣装の色が統一されているので圧巻。圭さんは進行ファイルのような物を抱えてベルベットのタキシード姿で現れ、まさに華のある登場だった。開口一番、スタンド席からもわかるほど圭さんの緊張感が伝わってこちらまで緊張したが、仕事に関してはプロらしく完璧にこなしていく。佐渡エストロから緊張ぶりを指摘され、やっと笑顔が見えた。しかし、場数を踏んでいる経験値が物を言い、段々司会ぶりが板に付いてくる。ゲストの方のコーナーがある一部は和気藹々とした雰囲気で盛り上がった。ただ、一つだけ残念なことが。佐渡さんが力を入れているスーパーキッズオーケストラと大阪府淀川工科高校吹奏楽部の演奏をもっとちゃんと聴きたかった。ゲストのバックで彼らが演奏した曲は、ゲストの方のバンドの重低音ですっかりかき消されてしまったからだ(音の種類が違いすぎる)。あの時だけバンドの方に休んでもらえなかったのだろうか?(大声では言えないが)

30分間の休憩でトイレに並んでいると、背後から突然拍手が沸き起こった。何だろうと振り返ると、スーパーキッズオーケストラと淀川工科高校吹奏楽部のメンバーが通路を通って行ったのだ。はにかみながら足早に通り過ぎる。はっきりと「ありがとうございます」と答えた少年がいた。狭い通路が温かい空気で満たされた。

そして、第二部はいよいよ第九。力のこもった佐渡さんの指揮を観ながら、本当に体力仕事だなぁと改めて感心する。美しい旋律に身を任せながら、色んな感情が頭の中をぐるぐると駆け巡った。客席の最前列に座って鑑賞する圭さんの頭が見える。佐渡さんの指揮に合わせて頭が揺れている。常葉朝陽を演じていなかったら、こんなに自然には身体が動かなかっただろう。

いよいよ合唱部分に差し掛かった途端、四方八方から声が轟いた。一万人の声の力。「荘厳」というのはまさにこういうことを言うのだなと思った。男性の深く重い声の響き、女性の高らかな澄んだ声が何重にも重なり、未だかつて経験したことのない感覚を味わった。スクリーンに映し出される歌詞に心を揺さぶられ、「人はなぜ戦争をするのだろう」と思った。普段は不信心者の私が神に祈り、胸がいっぱいになった。貴重な経験をさせてもらった。

第九の後はサプライズゲストで阪神タイガースの大竹投手も登場し、一気にお祭りモードに。ラストは蛍の光のメロディーをバックにメインパーソナリティである圭さんの挨拶。見事に締めくくって、流石と思わせた。アンコールでは、合唱指導の先生達がずらりと登場し、圭さんはその方々に前に出るように促したりして気遣いを見せる。全員のお辞儀では誰よりも深く頭を下げる。素晴らしい!是非来年もやってほしい、と強く思いながら会場を後にした。