推し活修行 ~田中圭さんを深く静かに推す~

映画・演劇・本(乱読)が好き。田中圭ファン。圭モバプラチナ会員。

「やってほしい」と「やるべき」の大きな違い

前回、舞台のベスト3を選ぼうと圭さんの過去出演作をたどってみて気付いたのは、実に様々な演出家とタッグを組んでいること、再演が全く無いことだった。いかに彼が新しいことにチャレンジし続けてきたかがわかる。観る側の好みとして、もう一度白井晃氏とがっつり組んでもらいたいが、果たして圭さんはどう思っているのだろう?

ファンミの質問コーナーで「例えば本など読んでいて、この役をやってみたいと思ったものはありますか?」という問いに対し、「昔は思ったこともあったけど、そういう作品は大抵その時点で(誰かに)決まっていて、考えてもどうにもならないので、段々考えなくなった」「幸い、今頂いている仕事はすべて気に入っている」と答えた圭さん。そして止めに「そもそも自分がやりたいと思う作品ばかりをやることがいいことなのかどうか?そういうスタンスで仕事を選んでいたら絶対『死神さん』のような作品には巡り会わなかったわけで…」という言葉で締めくくり、その考えが根本にある限りまだまだ未知の世界を見せてくれるに違いないと私は確信した。

私には、過去にほろ苦い思い出がある。某アイドルのファンを何年も続けていた頃、ファンミで質問コーナーがあり、挙手で当ててもらった私は、質問というより希望を語ってしまった。当時そのアイドルが世界的なファッションデザイナーのファッションショーに出たことを挙げ、「あんな仕事をまたやってほしい」とかなんとか嬉々として語ったと思う。あまりに昔で自分が言ったことはぼんやりとしか憶えていないのに、その時彼の返した言葉はハッキリと憶えている。「おお!マネージャーみたいな人ですねぇ」と言って彼は笑い、私は一瞬にして歓迎されていないことを悟った。猛烈な後悔におそわれた。知らず知らずのうちに推しの仕事をランク付けしていたのだ。素敵なご意見ありがとう、とはならない。
長くファンをやっていると、「こんな作品で彼を観たいな」と思うことが多くなり、「こういう仕事をしてもらいたい」→「もっとこういう仕事をするべき」になりがちだ。こんな作品に出てほしい、あの演出家と一緒に仕事してもらいたい、と夢は次々と湧いてくるが、それはあくまでも「夢」として「個人的な楽しみ」として仲間内で語ることはあっても、二度と推し本人には言うまい。そして見事に予想を裏切る作品に出る推しを見て、そうか、そういう絵もあったのだと目を見張りたい。