推し活修行 ~田中圭さんを深く静かに推す~

映画・演劇・本(乱読)が好き。田中圭ファン。圭モバプラチナ会員。

沼に足を踏み入れる

田中圭さんに出会ったのは2011年の3月だった。月曜日で、いつも楽しみにしているクイズ番組がその日はお休みだった。見るものがないので何となくNHKにして「家族に乾杯」を見た。その日のゲストが圭さんだった。運命だったと思う。それまでにも映画やドラマで彼を見たことはあったが、特に強い印象はなかった。素の彼はとてもチャーミングで、へぇ、こういう人なんだと興味が湧き、後編は録画までして見た。当時「家族に乾杯」は二週に分けて放送されていたのだ。長野のリンゴ農家を訪ね歩き、全くの初対面の方の家に一人で上がり込み、ホーム炬燵に入ってリンゴをご馳走になっていた。他人の懐にこんなに自然にスルリと入り込む人を初めて見た。その時点で私は沼の淵に立ったのだと思う。(実はその時すぐに圭モバに加入したが、後に引き継ぎに失敗して番号を無駄にした。悔やんでも悔やみきれない)

次の日から私は出来る限り沢山の出演作をレンタルして見まくった。ほぼ脇役のオンパレードだったが、演技に変な癖が無く、その人柄のようにとても自然で、好きなタイプには違いなかった。しかし、それだけでは単に好きな俳優で終わっただろう。私がその俳優を「推し」としてこれから応援し続けるかどうかを決める一番大事な条件は、舞台をやってくれる人かどうかである。私は彼の舞台を見たいと思った。舞台はごまかしがきかない。声は通るか?滑舌は良いか?華があるか?

チャンスは案外早くやってきた。「芸人交換日記」。ゲネプロの評判は凄まじかった。伝説の舞台になる、と書かれており、益々期待は高まった。そして…
久し振りに東京まで遠征して見た舞台に私は度肝を抜かれた。それまで演劇というものを少なからず見てきたが、私は蜷川幸雄氏の演出が大好きだったので、常にシェークスピア三島由紀夫チェーホフ等これぞ演劇と言われるものを見ていたのだ。鈴木おさむ氏の演出する「芸人交換日記」はそれらとはまるで違う色彩を放っていた。当然ながら圭さんはあの可愛らしい田中圭ではなく、全く別の人を生きていた。地を這うように泥臭く。彼の発する凄まじい熱量に私は唖然とし、心が汗をかいた。うまく言えないが、右手で左手を掴んでいないと震えてしまうような感動があった。

こうして、私はズブズブと沼にはまりこんだ。