推し活修行 ~田中圭さんを深く静かに推す~

映画・演劇・本(乱読)が好き。田中圭ファン。圭モバプラチナ会員。

一流

勤め人時代、面白い上司がいた。年間300冊以上の本を読み、海外のエンタメ小説は原語で読んだりしていた。10年以上昔の話になるが、ある時仕事中に今年の芥川賞の受賞作をどう思う?と問われた。「俺はあれがなぜ芥川賞なのか、さっぱりわからん」と。「私が読むのは直木賞ばかりで、もう何年も前から芥川賞の方はお手上げです」と答えた。上司と言っても年齢はそんなに違わなかったので、こんな感じでよく話をした。彼はまた昼休みの雑談で「未来には恋愛小説なんていうものは世の中からなくなる」と話し、その場に居合わせた全員から「それはない」と反撃を食らった。驚いている上司に、人間がいる限り恋愛小説は消えない、と私は答えたが、そもそも私自身も恋愛小説を好んでは読まない。

で、なぜ急にその上司のことを思い出したのかというと、昨夜テレビを見ていて彼が昔よく話していた言葉を思い出したからだ。彼が学生だった時に教授から言われた「とにかく自分が一流と思う人と仕事をしなさい」という言葉が強く記憶に残っていると。

昨夜テレビで世界的なピアニスト藤田真央さんの生演奏を観た。素晴らしい演奏はもちろん、「とても上手く弾けました。良かったです」と話す柔らかな笑顔に驚いた。23才の青年が話す「わたくし」という言葉はとても美しかった。彼の周りの空気が、ぎすぎすしたものとは無縁の豊かさに包まれていた。ふと「一流」とはこういうことか、と思った。

来月からいよいよ圭さんの舞台が始まる。もう稽古は始まっているだろうか?栗山民也氏は間違いなく一流の演出家だ。私の勝手な思い込みだが、最近のインタビューを読んでいると、今回の舞台に向かう圭さんが何か今までと違うような気がする。一つギアが上がったような。

「舞台人田中圭」が、皆にもっと認識されますように。