推し活修行 ~田中圭さんを深く静かに推す~

映画・演劇・本(乱読)が好き。田中圭ファン。圭モバプラチナ会員。

モヤモヤする映画

やっと時間を捻り出して「月の満ち欠け」を観てきた。事前に多少の情報を収集したが、多分圭さんが出演していなかったら、観ていない種類の作品だ。私は物語に関してはリアリストで、本でも映画でも、ファンタジーの要素があるものはとても苦手だ。推し活を長年やってきたくらいだから妄想の類いはする。が、ロマンチストではない。(妄想というのは、どこかでもう一人の自分が冷やかしながら「妄想する自分」を見ているが、ロマンチストは発想そのものがロマンチックで、そんな自分を疑わない。)

なので私は「生まれ変わり」という肝となるテーマに全く乗れず、終始居心地の悪さを感じながら映画を観ていた。一部でホラー映画と揶揄されていたことも納得出来る程の展開。何度も生まれ変わっては三角哲彦という青年を求める瑠璃という女性の執念が、そら恐ろしくさえあった。おそらく、私がこの映画に乗れなかった一番の理由が「子供」だ。瑠璃の生まれ変わりと称される子供が二人出てくるが、瑠璃の口調で話す7歳の子供がひたすら気持ち悪く、子役さんには申し訳ないが、切なさも愛しさも微塵も感じられなかった。

あちらにもこちらにも誰かの生まれ変わりの子供ばかりが登場するこの作品の中で、唯一救いがあるとすれば、大泉洋が演じる小山内氏の佇まいであると私は思う。妻子を一度に失った男の悲哀が全身から醸し出されていたし、その瞳は終始哀しかった。彼が頑なに生まれ変わり説を拒んだのも当然と思う。

このキャストなら、もっと違う方向の作品を観たかったとふと思った。不慮の事故で妻子を一度に失った小山内堅と、自分のせいで愛する妻瑠璃を追い詰め死に追いやった正木竜之介(圭さん)が、どこかで出会い、共に苦悩しながら再生していく物語を観たかった。映画的に地味であったとしても。

あ、音楽はとても良かった。ジョン・レノンは素晴らしい。